X

猫の気持ちはしっぽでわかる『喜怒哀楽』のサイン

猫の世界では、コミュニケーション手段の1つとして「しっぽ」を活用します。威嚇や意思の表現、または楽しい、興奮などの感情もしっぽの動きに現れるのです。

あなたの愛猫がしっぽの動きでどんなことを思い、何を感じているのかを知ることができれば、コミュニケーションはより円滑に、そして愛猫との暮らしをもっと豊かなものにすることができるでしょう。

そこで今回は、そんなしっぽに現れる猫の気持ちを『喜怒哀楽』というカテゴリに分けてご紹介したいと思います。

もくじ

『喜』 喜び・嬉しい気持ち

しっぽが垂直にピンっと立っている

自宅に帰った際に玄関で出迎えてくれるとき、またご飯の時間を知らせたとき、猫はしっぽをピンっと垂直に立てます。これは、嬉しいときや甘えたいときによく見られる状態で、猫からの親愛のサインであるともいわれています。

猫は幼少期、母猫にお尻を舐めて貰うことで排泄行為を行います。そのとき仔猫は、しっぽを上に立てて母猫にお尻のケアをお願いするのです。やがてこのポーズが母猫に近づくときのお決まりのポーズとなり、親愛のサインになっていくのです。

愛猫がしっぽをピンっと立ててあなたに近づいてきたとき、同時に体をスリスリしてくるようであれば、それはあなたへの最大の親愛表現です。猫は額やお尻の付け根にある臭腺から、ごく微量の匂いを発してマーキングを行います。好きな人やお気に入りの場所に「これは私のもの」という匂いをつけておくわけですね。

愛猫があなたにしっぽを立ててスリスリしてきてくれたら、それはその子からの信頼と親愛のあかしです。ぜひ、やさしく声をかけながら撫でてあげてください。

垂直に立ったしっぽの先が前を向いている

これは、前述したしっぽがピンっと立っているときの中でも、気軽なあいさつとしての意味や「ちょっと遊びたいな」といった気分のときに見られる状態です。仔猫同士の場合には「一緒に遊ぼうよ」のサインであるともいわれています。

また、このしっぽの先が前を向いている状態は、敵意を持った相手に対しても見られる場合があります。これは、ちょっとした威嚇行為の一種で、相手の出方を伺っている状態であるともいわれています。

愛猫が立てたしっぽの先をこちらに向けて近づいてきたら、そのときはすぐに、その子のお気に入りのおもちゃを取りに行ってあげましょう。

『怒』 驚き・興奮・怒ったとき

しっぽの根元だけが持ち上がっている

小さな物音に警戒したときやちょっとだけ驚いたとき。猫のしっぽは、根元だけが持ち上がり「への字」を描きます。これは軽度の警戒モードに入ったときや、ちょっとした威嚇行動の一種であるといわれています。また、さらに気分が攻撃的になると、背中やしっぽの毛が逆立ちます。

このときの猫は少しだけ臆病になっていますので、むやみに手を出したり、突然大きな音を出すことは控え、やさしく話しかけてあげましょう。そうすることで警戒モードを解除してあげたり、安心させてあげることができるでしょう。

左右に激しくブンブン振っている

ブンブンという音が聞こえそうなほど強くしっぽを左右に振っているとき、その子はかなりの興奮状態です。これは前述の「しっぽの根元を持ち上げる」ときよりも、さらに強い威嚇行動の一種です。

犬の場合、しっぽを振るのは嬉しいという気持ちを表すサインになりますが、猫の場合は「興奮状態」「中レベルの威嚇行為」を表します。

お気に入りのおもちゃで遊んでいるとき、テンションが上がりすぎるとこの状態になる場合もありますので、そんなときは、周りの状況も気にしながら遊んであげる必要がありそうです。お互いにケガのないことが何よりですからね。

しっぽがボワっと大きく膨らむ

突然大きな音がしたときや敵に遭遇したとき、猫はしっぽの毛を全て逆立てボワっと大きく膨らませます。これは威嚇というより戦闘モードに入っている状態で、かなり攻撃的なスイッチが入ってしまっています。

ただし極端に気が弱い子だと、ちょっとした物音にもすぐにしっぽを膨らませることがありますが、これは突発的な緊張状態や瞬発的な恐怖心の表れです。

また、しっぽを膨らませる際、背中の毛まで大きく逆立っているときは、周りが見えなくなるほど興奮している場合もありますので、むやみに手を出したり大きな音を出すことは避け、やさしく声をかけながら、ゆっくりとなだめてあげて下さい。

『哀』 悲しい・不安な気持ち・怖い

しっぽが力なくダランと下がっている

イタズラをして叱られたときや、他の猫とのケンカに負けてしまったときなど、猫はしっぽを力なくダランと下げます。人間でいえば「しょんぼり」している状態ですね。状況によっては慰めてあげることも必要です。

しかし、あまりにも長くこの状態が続くようですと、体調が悪い場合もあります。どこかをかばっていないか、食欲はあるか、いつも通り遊べているかなど、他の状況も踏まえて、じっくりと様子を見てあげてください。

しっぽの先を小さく左右に振っている

何か不安なことがあるときや気持ちが落ち着かないとき、猫はしっぽの先を小刻みに左右に振ります。こんな状態を見かけたら、何に不安を感じているのか、なぜ気持ちが落ち着かないのかをよく観察してみましょう。

実は、とても些細なことに怯えているだけかもしれません。そんな時はやさしく話しかけて、不安の原因を取り除いてあげてください。

しっぽを股の間にはさんでいる

猫は、大きな不安に駆られたときや強く怯えているときには、しっぽを股の間に挟んで隠そうとします。これは、敵に自分を小さく見せて争いを避けるためやしっぽそのものを守るための行為であるといわれています。

俗にいう「しっぽを巻いた」状態ですね。また、さらに強い恐怖を感じたときには、背中の毛を逆立てることもあります。これは怒りと同時にかなり怯えている状態です。

できるだけこんな状態にさせないことが、愛猫との暮らしを豊かなものへと変えていく秘訣です。外猫さんには難しいかもしれませんが、愛猫が安心して暮らせる環境を創っていくことが、同居人としての務めでもあるでしょう。

『楽』 楽しい気持ち・リラックスしている

丸まってゆっくりしっぽを左右に振っている

これは、猫がとてもリラックスしている状態で、ご機嫌な状態のサインでもあります。ごはんの後やお昼寝の前によく見られる状態で、幸せを感じながらリラックスタイムを過ごしているのでしょう。

この状態を見かけたら、そんな幸せなひと時を邪魔しないよう、そっとしておいてあげるのが良いかもしれません。

しっぽの先だけを小刻みに動かす

丸まって休んでいるときやお気に入りの場所でくつろいでいるときに、愛猫に話しかけてしっぽだけで対応された経験はありませんか?これは、リラックス状態にある猫が「めんどくさいけど、とりあえずしっぽで答えておこう」というときに見せてくれる猫の優しさです。

また「今はかまってほしくない」というサインでもありますので、ここはそっとしておいてあげましょう。この自分勝手なワガママさが、猫の魅力の1つでもあります。

ボーっとしながらしっぽをパタパタ

窓の外を見ながらしっぽをパタパタ。こんなとき、猫は何かに小さな興味を抱いているか、考え事をしているようです。何をして遊ぼうか、またはお昼寝をしようか、これからの時間の使い方を考えているのでしょう。

こんな状況を見かけたら、ちょっとだけ声をかけてみると、もしかしたら一緒に遊んでくれるかもしれません。または、そっとしておいて自由にさせてあげることも、時には必要です。

まとめ

今回は、猫のしっぽからわかる喜怒哀楽のサインをお届けしました。猫の気持ちを完全に理解することはとても難しいことかもしれませんが、同居人がしっぽから送られるサインの意味を知っているだけでも、ちょっとした意思の疎通は可能です。

こうして、あなたが猫の気持ちをしっぽから読み取ろうとすることで、今よりも愛猫との毎日が少しだけ豊かになります。ぜひ、今日からあなたも、愛猫のしっぽの動きに着目してみてください。