猫は一般的に、痛みに対して強い動物であると思われています。遊んでいるときにテーブルの角に体をぶつけた、キャットタワーから誤って落下したときなどにも、意外とケロッとした顔をしています。
しかしこれは、決して痛みに強いわけではなく、痛いのを我慢して『隠している』のです。
猫は野生での生活を単独で過ごしていたため、弱っているところを見せることは、敵に絶好のチャンスを自ら知らせるようなものです。そのため、たとえ体のどこかが痛くても、それを見せることはしないのです。
この習性が、家猫となった今でも残っているので「痛みに強い」「痛みを見せない」といわれているわけですね。
しかし、猫と共に暮らす私たちにとっては、これは少々厄介な問題でもあります。愛猫が痛みを我慢しているのにも関わらず、これになかなか気が付くことができないからです。
そこで今回は、そんな愛猫さんの痛みにいち早く気が付くためにも『猫が痛みを我慢しているときの5つのしぐさ』をご紹介したいと思います。
こうした小さな変化に気を配ることも、大切な家族を守るあなたの役割でもあるのですから。
もくじ
痛みを伝えるしぐさ『普段よりも鳴く』
これには個体差がありますが、基本的には痛みを隠す猫でも、直接、鳴き声で痛みを知らせてくれることがあります。
『普段とは違う声で鳴いている』『やたらと悲痛な声で何度も鳴く』『じっとしてゴロゴロいっている姿をよく見かける』
そんなときは、どこか怪我をしていないか?また、痛みを隠しているのではないかを疑ってみてください。
ただ甘えたいだけ、かまって欲しいだけという可能性ももちろんありますが、痛みを我慢させてしまうよりはマシです。
こんなときは優しく声をかけながら、さりげなく体に異変はないかをチェックしてあげてください。
痛みを隠すしぐさ『過剰に毛づくろいをする』
猫は1日の中でも、睡眠に続いて毛づくろいに多くの時間を割きます。そのため、普段との違いは気が付きにくいかもしれません。
しかし『やたらと同じところばかり舐めている』『普段より念入りに毛づくろいをしている』『毛づくろいを通り越して噛んだり掻いたりしている』
そんな場合は、痛いところを自分でケアしようとしている可能性があります。
少し可哀想ですがその部分を軽く触ってみて、やけに嫌がるようであれば、すぐに病院に行って診て貰いましょう。
弱みを見せられないから『攻撃的になる』
痛みを我慢することは、とてもストレスが溜まるものです。これは人間でも猫でも同じで、普段よりもイライラすることもあるでしょう。
また猫の場合には、攻撃によって相手を遠ざけ、自分が弱っていることを悟られないようにしようとする子もいます。
普段はおとなしいのに、なんだか急に凶暴になった。また甘えん坊の愛猫さんがほとんど寄ってこなくなったときにも、痛みを隠している可能性があります。
あなたができるだけ早くこの異変に気が付いてあげるためにも、普段からのコミュニケーションを大切にしてください。
かなり我慢しているときは『ご飯を食べない』
これは痛みを隠している可能性の他に、体のどこかに異常がある場合があります。体調が悪い、内臓に異変がある場合などには、やはり人間と同じように食欲が落ちるのです。
食事は、猫にとってとても大切な生存行動の一つなので、極端に食欲が落ちているようであれば、すぐに病院に連れて行って診て貰ってあげてください。
仮に重い病気が見つかったとしても、早期発見が1日でも早い回復に繋がります。ぜひ愛猫さんの食事には、人一倍気を使ってあげてください。
痛みが邪魔をして『トイレが上手くできない』
『何度もトイレに行く』『おしっこがきちんと出ていない』『普段と違うところで用を足す』突然、愛猫さんの日常にそんな変化があれば、これはちょっとした危険信号です。
猫は元々、結石ができやすい体の構造をしています。上記のような症状が頻繁に見られるようであれば、尿路結石である疑いがあります。
また、オス猫やシルバー系の被毛をした子は、この病気になる確率が高くなる傾向にあるといいます。
すぐに病院にいくことはもちろんですが、これは『普段からの食事に気を付ける』『定期検診を受ける』などの方法で予防することもできます。
愛猫さんが、毎回トイレに行くたびに付いていくことは、ストレスの原因にもなるのでお勧めしませんが、最低限、用を足した後のトイレはチェックする習慣をつけておきましょう。
まとめ
今回はいろいろと不安になるようなお話ばかりでしたが、愛猫さんとの豊かで幸せな生活を創っていくためには、こうした健康への理解と配慮も必要です。
『痛みを隠す』という猫の習性を知ることはもちろん、普段からの密なコミュニケーションが、そんな痛みを感じている愛猫さんを少しでも早く治してあげることにも繋がります。
本記事が、あなたとあなたの愛猫さんのお役に立てれば幸いです。