「猫の噛みグセ」は、トイレ問題や壁への爪研ぎと並んで、猫と共に暮らす私たちにとっての大きな悩みの1つです。
一緒に遊んでいるうちにテンションが上がって噛みつかれ、時には出血してしまう・・
あなたにもそんな経験はありませんか?
「それでも可愛くてついつい許してしまう・・でもできることなら噛まないでほしい・・・」
こういったあなたの複雑な心境も、ものすごくよくわかります。
ではこういった『愛猫の噛みグセ』を治すためには、一体どうすればよいのでしょうか?
そこで今回は「猫があなたを噛む理由」と題し『猫の本能と気持ちを理解することで、愛猫に噛みグセを治してもらおう!』というテーマの記事をお届けしたいと思います。
もくじ
まずは猫の本能を理解しよう!
猫はもともと野生に生息していた生き物で『肉食』の動物でもあります。
物陰に潜んでチャンスを伺い、獲物を捕らえる天性のハンターである猫は、高いところが大好きで、狭くて隠れられる場所をよく好みます。
また爪を研ぐ行為も、本来は『獲物を確実に仕留めるための準備』であり、これらの猫特有の習性は全て『狩猟本能』からきています。
マーキングや爪研ぎ、引っ掻きや噛みつきといった行為は、現代を生きる家猫さんにも狩猟本能として備わっているというわけですね。
こうした猫の本能に対して、僕は『人間側が寛大な心を持って猫と接すること』で、どんな問題も必ず解決できると信じています。
自分を理解してもらうためには、まず相手を理解すること。
これは例え猫相手じゃなくとも、お互いが快適に暮らせる共同生活を送るためには、とても重要な秘訣であると考えています。
猫があなたを噛む理由 その1:子猫によく見られる『歯がかゆい』
成猫にはあまり見られませんが、生後1ヶ月〜3ヶ月ごろの仔猫は歯が生えそろう段階にきており、歯茎がモゾモゾしています。
そのためいろいろなものに噛み付いて、この違和感を取り除こうとするのです。
これは人間の赤ちゃんも同じですね。
また、この頃の仔猫はとても愛らしく、ついついいろいろな物を噛ませてあげたくなってしまいがちです。
また噛む力も弱く、その姿も非常に可愛らしいので、自分の指を噛ませたくなることもあるでしょう。
しかしこの経験が、成猫になっても「手で遊んでもらった楽しい記憶」として残ります。
つまり「同居人の手=おもちゃ」となってしまうわけですね。
愛猫が一度でもそう認識してしまうと、成猫になってからも「人間の手」はおもちゃの1つです。
こうして『人間の手に噛み付いて遊ぶこと』は、愛猫にとってあなたとのコミュニケーション手段の1つとなります。
その内どんどん遊びがエスカレートして、噛む力も強くなり、最後には出血・・
こんな経験に心当たりがある方は、時間をかけて愛猫に「手はおもちゃじゃないよ」ということを理解してもらう必要があります。
もちろん、なかなか聞いてくれないからといって手をあげたり、大声で叱ってはいけません。
噛みつかれたら遊ぶのをやめる、噛みつかれたらすぐに他のおもちゃを取りに行く。
こうした人間側の都合を押し付けない歩み寄りを、少しずつ根気よく進めていきましょう。
きっといつか、愛猫さんはそんなあなたの想いを理解してくれるはずです。
猫があなたを噛む理由 その2:一人っ子に多い『噛まれたことがない』
家猫さんは、ほとんどがペットショップの出身だったり、野良で1匹でいるところを保護されたりというケースが多いのではないでしょうか?
たとえば野良出身であったとしても、ある程度大きくなってから保護された場合は別ですが、幼少期を他の猫(母猫や兄妹)と暮らした経験のない子は、多くの場合『自分自身が噛まれた経験』がありません。
そのため『噛まれることの痛みを知らない』のです。
我が家の11Catsの中でも、唯一幼少期から私たちとだけ過ごしてきたコキチは、やはり噛む力に遠慮がありません。
そのため、他の猫たちと接している際にはとても気を使っています。
これは『子猫のころから自分が噛まれて痛みを知ること』でしか学べないことなので、今の私たちは「ケンカの度が過ぎないように見守ること」くらいしかできません。
いつしかコキチも、他の猫とのじゃれ合いやケンカの中で、噛まれる側の気持ちと痛みを、少しずつでも理解してくれればと思っています。
猫があなたを噛む理由 その3:あなたの気持ちを知りたい『愛情確認の意味で噛む』
これはまだ、現時点で十分な科学的な根拠はありませんが、猫が同居人に噛みつく理由として考えられているものの中に「噛んだ後の反応で自分への愛情の度合いを確かめている」という説があります。
ちなみにこれは、猫以外の動物にもみられる行為であるようです。
じゃれていると思っていたら突然噛みついてきたり、優しく撫でていたら急に噛まれた、という場合はこのケースに該当するのかもしれません。
しかし「愛情を確認されている」と思えばイヤな気はしません。
あまりにも強く、頻繁に噛まれるようであれば話は別ですが、こんな時は「私も君が好きだよ」という気持ちで接し返すことが、最良の方法なのではないかと考えています。
猫があなたを噛む理由 その4:弱みを見せないための強がり『どこかにケガをしている』
猫は冒頭でもお話しした通り、狩猟本能を持った肉食動物です。
獲物を捕らえるために爪を立て、噛みつくことで止めを刺そうとします。
しかし猫はとても賢い動物でもあるので、人間相手には自分が勝てないことをきちんと理解しています。
それでも本気で噛み付いてくるようであれば『どこかにケガをしている』または『極度のストレスを感じている』『あなたを敵だと認識している』かのいずれかでしょう。
ケガをしているときや体調が悪いとき、猫はひっそりと隠れられる場所を見つけ、自身が持つ自己治癒力で治そうとする習性があります。
しかし家の中にこうした「安心して隠れられる場所」がない場合は、人目につく場所で傷を癒すしかありません。
こういった状況にある猫は、例え同居人といえど、しつこくかまってくるようであれば、自分の体を守るため本能的に噛みついてくることがあるようです。
もしケガをしている可能性が少しでもあるのであれば、噛まれても大丈夫な長袖や手袋をしたうえで愛猫を保護し、まずはくまなくケガの有無を確認してみましょう。
このとき仮にどこにもケガがなくても、内臓などの見えないところに異常があるケースもありますので、できるだけ早く病院に連れ行ってあげてください。
もしどこも悪くなくとも、これで「ケガや病気をしているから噛んできたんじゃない」ということを確認することができます。
ですので、もし愛猫さんが普段と違う様子でやたらと噛みついてくるときは、まずはケガをしている可能性から探ってみてください。
猫があなたを噛む理由 その5:環境に問題あり?『極度のストレスを感じて噛む』
猫はどちらかといえば警戒心が強い部類の動物なので、日常の物音や生活の変化にはとても敏感です。
つまり神経質な動物であるため、ストレスもたまりやすいというわけですね。
人間のように『過度のストレスからうつ病になる』といったケースは稀ですが、それでもストレスがたまるとイライラしたり、いつもより凶暴になってしまうことはあるようです。
ストレスが原因の可能性が考えられる場合は、まず「愛猫がストレスを感じている原因」や「日常生活の中に大きな変化がなかったか」を、今一度ゆっくりと考えてみましょう。
その後、この原因を取り除いてあげることで、いつものやさしい愛猫さんに戻ってくれるはずです。
また引越しなどで環境の変化がやむを得ない場合には、今まで遊んでいたおもちゃや布団、キャットタワーなどを引越し先に持っていくことも忘れてはいけません。
そして新居には『1匹で隠れられる場所』をいくつも作ってあげること、そして何より『あなたがなるべく長い時間一緒にいてあげること』で、愛猫さんは新しい環境にもすぐに慣れてくれるはずです。
猫との同居には、全ての事柄において余裕を持った段取りと気配りが必要です。
ぜひ、あなたと愛猫さんの暮らしをより豊かにするためにも、常に心と時間にゆとりをもって事に当たってあげてください。
猫があなたを噛む理由 その6:まだまだ心を許していない『あなたを敵だと思って噛む』
野良猫さんを保護したばかりなど、まだ愛猫があなたに心を開いていないときには、猫はあなたを敵だと認識しています。
そんなときはむやみに手を出したり、不用意にスキンシップを図ろうとすると、噛まれてしまうことがあります。
しかし前述の通り、猫は人間相手に勝てないことを知っているので、これは敵に対しての攻撃というよりも、恐怖心と防衛本能からくる威嚇に近いです。
また「どこにも逃げ場がない!」「捕まってしまう!」と感じた際にも、引っ掻く、暴れる、噛むといった行為で抵抗しようとするでしょう。
この場合は、まずその猫さんと『信頼関係を構築する』必要があります。
もちろんこれは、とても根気のいる時間のかかる作業です。
それでもあなたと愛猫さんのその出会いは、もしかすると運命だったのかもしれません。
これから先、一緒に豊かな共同生活を送っていくためにも、まずは愛猫さんの声を聞き、気持ちを理解しようとすることで、少しずつ信頼関係を築いていってください。
その先の未来には、必ずや今よりも楽しく豊かな毎日が待っているはずです。
猫があなたを噛む理由 まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、6つの猫があなたを噛む理由をお届けしました。
噛みグセというと、どうしても一方的に人間側の都合を押し付け、猫を「しつけよう」と考えてしまいがちです。
個人的には「しつける」のではなく、猫の本能をきちんと理解し、猫の気持ちを考えたうえで人間側から歩み寄ることが、猫との共同生活を送る上でとても大切なことなのではないかと考えています。
本記事が、あなたと愛猫さんとの暮らしをより豊かなものへとできることを願っています。